内なる小さな世界: カイロプラクティックの神経学的基礎
『内なる小さな世界 ― カイロプラクティックの神経学的基礎』
C・ジャドソン・ヘリック『神経学入門』(1915年)の現代的研究
「生きている身体は、より大きな世界の只中に置かれた小さな世界である。」
1915年、シカゴ大学神経学教授C・ジャドソン・ヘリックは、一冊の小さな教科書を著した。神経系を名称の暗記の対象としてではなく、ひとつの「働く仕組み」として理解させること、それがその目標であった。ヘリックはあらゆる機能を受容器から中枢、そして反応へとたどり、一世紀以上を経た今なお有効な機能的枠組みを示した。
本書は、ヘリックの全21章を原著の順序のまま読み解く現代的研究である。各章では1915年当時の論考を現代の神経科学と並べ、その意味を施術台の上の臨床へとつなげる。扱う範囲は、ニューロンと反射回路から始まり、脊髄・脳幹・小脳、平衡覚・聴覚・視覚・嗅覚、自律神経系を経て、痛みと快、そして大脳皮質に至る。
各章の構成:
- ヘリックの論考の要約(原著からの引用は著者による日本語訳)
- 現代の神経科学:イオンチャネル、シナプス可塑性、ゲートコントロール説、中枢性感作、脳の大規模ネットワークなど
- 「1915年から現在へ」比較表
- カイロプラクター、オステオパシー施術者、理学療法士のための臨床推論
- 検討症例:頸原性頭痛、頸性めまい、内臓からの関連痛、関節原性筋抑制、馬尾症候群や頸動脈解離などのレッドフラッグの見極めなど
- 要点、復習問題、参考文献
巻末には、英語の原語を添えた約160語の用語集、主要参考文献、五十音順の索引を収録した。
本書の中心にあるメッセージは、簡潔かつ実践的である。身体はもともと、自ら調整し修復するように組織されている。その組織を理解する臨床家は、それを妨げているものを取り除き、最小の介入で最大の効果を上げることができる。
ヒポクラテスの『予後論』を読み解いた『臨床推論のルーツ』に続く、シリーズ第2巻である。
著者:山端二郎(BCSc., DOMP)。パームス・スクール・オブ・カイロプラクティック(大阪)創設者・教育ディレクター。カイロプラクティックおよび徒手医学の教育に約25年携わる。