機械以上のもの: カイロプラクティックの生理学的基礎
「我々自身はきわめて精巧に組み立てられた機械であるが、それ以上のものである。」
1916年、パーマー・スクール・オブ・カイロプラクティックで生理学の教授を務めていたハリー・E・ヴェダーは、カイロプラクティックの哲学に基づいて身体の機能を説明しようとする、初めての生理学教科書を著した。細胞から筋、血液と循環、呼吸、消化、腎臓、皮膚、感覚、そして脳系に至るまで、彼は身体のあらゆる働きを、生きた身体が自らを調節し維持する力、すなわちイネイト・インテリジェンスの表現として描いた。
本書は、その原著全58章を29章に再構成し、ヴェダーが実際に何を書いたかを原文に即して丁寧にたどったうえで、それを現代の生理学の知見と照らし合わせる。各章は次の要素で構成されている。
・学習目標
・ヴェダーの論考 ― 原著の内容を、著者自身の訳による引用とともに忠実に紹介する
・現代の理解 ― 100年余りの研究が明らかにした機序と、その発見の歴史
・1916年から現在へ ― ヴェダーの見解と現代の見解を一目で比較できる対照表
・徒手臨床家のための臨床推論 ― 危険信号、紹介の判断、患者への説明
・検討症例 ― 実際の臨床場面に即した症例と考察
・要点、復習問題、参考文献
ヴェダーの観察の多くは今も正しい。身体は自己調節する有機体であり、神経系はその統合の中心である。一方で、彼の時代には知られていなかったホルモン、イオンチャネル、腸管神経系、免疫の仕組みが、その説明の多くを書き換えた。本書は、ヴェダーの洞察を公正に評価し、誤りを率直に検討しながら、彼の問いが現代の臨床家にとって今なお意味をもつことを示す。
サブラクセーションは、椎間孔の中で神経根とその周囲に生じる炎症と腫脹として理解される。メリックの原理は認めつつ、固定された地図としてのメリック・システムは脇に置く。臨床家の役割は、病気を治療することではなく、干渉を取り除くことである。本書はこの一貫した立場から、生理学を徒手臨床の判断の基礎として学び直す道を提示する。
カイロプラクティック、オステオパシー、理学療法をはじめとする徒手療法の学生、臨床家、教育者のための一冊。用語集(140語)、主要参考文献、索引を収録。
『臨床推論のルーツ』『内なる小さな世界』『身体そのもの』に続く、カイロプラクティック臨床推論シリーズ第4巻。